トップページに戻る

楽器を作るにあたって必要になるその他の基礎知識とかをいろいろ紹介したいと思います。

以下の説明で使用しているフリー素材「 編集可能な楽器素材集 」はこちらからダウンロードしてください。

■ インパルストーン

パチッと言うクリックノイズです。これをインパルストーンと呼ぶ事にします。 クリックノイズについては音量変化の最初でも説明しましたが、 ここでは、そのスペクトル解析について説明したいと思います。



使用フリー素材:SoundChipImpluse-0001-0001

上図の白いグラフを見てください。マーカの周りにスムーズな曲線が出てるかと思います。 よく、本物の楽器をスペクトルアナライザで見ると、音の初めにこのような曲線を見ると思います。 ウインドノイズにしては綺麗すぎな曲線です。マーカを無数に作れば良いのでしょうか?

実はこの曲線、インパルスによって発生します。 インパルスとは、瞬間的に発生する「パンッ」という爆発音の事を言いますが、 音の最初のみに着目したものをインパルストーンと呼ぶ事にします。 音が減衰しようが持続しようが同じ曲線が現れます。

下図がインパルストーンの音量変化です。後ろのほうのカーブは影響しないため無視してください。



フレームが左にくっついています。つまり瞬間的に音量が最大になっている事を意味します。 このとき、最初の図のようなスペクトルが出現するのです。 なので、倍音のマーカを付けた箇所にインパルストーンの曲線が出現します。 逆に考えれば、本物の楽器でこの最初の図の形が出たら瞬間的に音量がONになる楽器という事が分かります。 特にアタック感のある音やパーカッション系でよく見かけるのでこの知識を参考にしてみてください。

スペクトルでマーカを無数に沢山作らないように注意しましょう。

■ インパルストーン2

すその幅が狭くなっているタイプのインパルストーンです。



使用フリー素材:SoundChipImpluse-0002-0001

作り方ですが、下図のように、音量の立ち上がりを遅らせる事で作る事ができます。 フレーム01のラインよりも後ろは影響しないので無視してください。 ポイントは音の立ち上がりまでの速さです。つまり、立ち上がりが遅いほど、 インパルストーンのスペクトル幅が狭くなります。 遅いとは言っても0.05秒の世界です。 本物の楽器のスペクトルを見る時に、すその大きさを見れば、 どれだけ早く音量がONになっているかを大体把握する事ができます。



音量カーブを2段階で減衰させるなどで、音量の立ち上がり後もインパルストーンに影響し、 カーブの形状が微妙に変わった形になったりします。いろいろと動かしてスペクトルの結果を確認してみてください。

ここで、ふと気がつくかと思います。倍音は1つしか作っていません。 なので実際も本当に1つの倍音の音しか出ていません。 人間が破裂する音のような瞬間音を聞くと急すぎて音程が識別できないため音程のある音でなく雑音として聞こえる訳です。

スペクトルアナライザも同じように音程が特定できないため、ゆるやかなすそが倍音付近に出現します。 これは、スペクトルアナライザも、音の始まる瞬間は音程が特定できなかった事を意味しています。

音程というのはある周期的な波が繰り返されて特定の音程を識別できます。 しかし、音の瞬間はまだ波が繰り返されていないので、音程が分からないのです。 時間とともに、徐々に音程がはっきりしてきて、やがて1つの音程としてマーカの音だけが聞こえるようになります。

インパルストーンはこういった認識に関する現象によって生じている訳です。 ようするに破裂した感じの音はインパルストーンになっていると解釈してください。 逆に考えれば、音の初めでパチッと音が出たら音量の立ち上がりを微妙に遅らせれば、クリックノイズは出なくなるという訳です。 なので楽器を作る場合はある程度の短い時間をかけて音量が立ち上がるように作る必要があります。 逆に、ノイズを使った打楽器を作る場合は、瞬間的に音量がONになるようにしたほうが、スカッとした打楽器らしさを出す事ができます。

■ 音程におけるエネルギーについて

楽器にはドとかレとかの音程があります。DTMでは音程の種類は全部で128個あります。 それぞれ低い音から高い音まであると思います。

実はこの音程ですが、高くなるほどエネルギー量が多くなる物理現象的なものがあります。 大きくなるというよりは、高い音程ほど、少ないエネルギーで大きな音に聞こえるのです。 なので、楽器を作る場合は、低音は音量を大きくし、高音は音量を小さくする必要があります。

そうしないと、高音で音を鳴らした時に、かなり耳が痛くなってしまいます。 逆に、低音は音量を大きくしないと、聞こえにくくなって、スカスカした感じになります。

これを解決するのが下図の機能です。



使用フリー素材:SoundChipGain-0001-0001

グラフは全ての音程を表しています。左が低い音程で右が高い音程です。中央付近の縦線が基準音程です。 この基準音程の右と左でそれぞれパラメータを持っていて、それらを調整し、だいたい図のようにすると、 聞いていてバランスの良い感じの楽器になります。

最初からこの設定になっていれば良いも、初期設定ではフラットになってます。 それは、音程ごとサウンドを作る事が多いため、自然と高い音程は少ないエネルギーになり、低い音程はエネルギーが多くなります。 フラットになっていたほうが楽器が作りやすいという訳です。 「 高い音と低い音の音色の違い 」でそれらについても説明したいと思います。

■ 高い音と低い音の音色の違い

音色の説明の所で、音は倍音の積み重ねで出来ていると説明しました。 生楽器では、高い音と低い音で、次の法則があります。

高い音程:
少ない倍音の積み重ねで出来ている。

低い音程:
沢山の倍音の積み重ねで出来ている。

という感じです。多分、厳密には、高い音程も沢山の倍音で出来ているんだと思いますが、 人間の耳は、2万Hz以上の高い音程は聞こえないので、楽器を作る場合、作る必要がありません。 なので、高い音程は、少ない倍音の積み重ねで、それらしい音を作る事が出来るのです。 更に、高い音程は、エネルギー消費が激しく、楽器を鳴らすと時間経過と共に、 物理的現象的に低いほうへエネルギーが移行していきます。どちらにしても、高い音程の成分は短時間で消えてしまうという訳です。

逆に、低い音程は、幅広い倍音列に渡って楽器を鳴らした後でも、ずっとエネルギーが残り続けます。

この音程による違いによって楽器の音色が音域によって違って聞こえるという訳です。 実際は、これに加え、楽器の共鳴特性で、音域によって音色が決まります。

倍音列の数ですが、高音域では、1〜6の数本。通常は2〜3本で表現できます。 低音域では20〜300本もの倍音列が必要になります。ピアノの低音域では200本超えくらいの倍音列が必要となります。 なので、自然と低音域はエネルギーが大きくなる感じです。

■ 倍音列の数と音色の聞こえ方

一般に倍音列の数が多くなるほどリアルな音になっていき、硬く鋭い音質になっていきます。 数が少ないと昔のゲームみたいなしょぼい音になり、やわらかく不鮮明な音質になっていきます。

ある音程のサウンドを1つ作って、いろいろな音階を鳴らしてみると体感できると思いますが、 低い音階にいくほど、音が柔らかくなっていくのを感じると思います。 理由は3つあって、1つは、前に説明したエネルギーの話です。 2つめは、倍音列の数。 3つめは、音量の立ち上がり速度についてです。立ち上がり速度に関しては別途説明します。

今回、重要なのが2つめの理由、倍音列の数です。 低い音階を鳴らしたらやわらかくなった。その場合、倍音列が不足している事を意味しています。 なので、低音域用の音階を別途作成し、高い部分の倍音列を加えていくと、音が鮮明になってきます。 良い音になっていくという訳です。

フリー素材の音色はどれも少ない倍音列で作成しているため、低音域は柔らかい音になってます。 倍音列を足していけば、ちゃんと、リアルな音にする事が出来るという訳です。

逆に、高い音階を鳴らした時に、音色が鋭くなるとしたら、倍音列が多すぎる事を意味しています。 倍音列を減らす事で、やわらかい音になっていきます。

■ 低い倍音と高い倍音の違い

鳴らす音程が第1倍音、オクターブ上が第2倍音。というように倍音列は無限に存在します。 第2倍音のほうが高い音だというのはイメージできるかと思います。前に音程におけるエネルギーに関して説明しました。 高い音程ほど、少ないエネルギーで大きく聞こえると。これは各、倍音においても同じ事が言えます。 音色を作る場合は、高い倍音ほど、音量を小さくしないと、不自然な音になってしまいます。 高い倍音は音量を小さくしないと、聞くのも不快な鋭い音になります。

音色の所で説明しましたが、右にいくほど、混ぜる量が少なくなっていました。 これはエネルギーバランスによる考慮だったという訳です。右にいくほど、音量を小さくすると、心地よい音色になります。

下図は低い音程(1A)ののこぎり波のスペクトルです。このように右に行くほど、下図のように倍音の音量を減らさないとなりません。


基本波形機能は Pro 版でのみ使用できます。

■ 湿った音と乾いた音

第1倍音付近の倍音列の音量が小さくなると乾いた音色になります。 逆に、第1倍音付近の倍音列の音量が大きくなると湿った音色になります。

乾いた音を作りたい場合は第1倍音の音量を減らすと良いかもしれません。 和楽器などは乾いた音のものが多く、ロックで使う楽器は湿ったものが多いかもしれません。 現代(2000年以降は)は乾いた音のほうが好まれる傾向があるかもしれませんので、そういった音色へチューニングする事で同じ楽曲のジャンルでも、 時代に合った雰囲気を作り出せるかもしれません。

湿った音は感情的で温かみのある音になり、乾いた音は社会的でスタイリッシュな音になります。 生楽器は前者でシンセ系は後者のイメージがあります。そういった音色の違いを制御してみるのも面白いかもしれません。 バイオリンは乾き系楽器ですが、トランペットは両者の音色を出す事が出来ます。 ピアノは湿り系ですがハンマーの音が乾き系かもしれません。同じ楽器でもメーカのこだわりでいろいろな音色があると思います。 これらの音色の違いは、楽器作りや楽曲作りではとても重要な要素になると思います。

■ 楽器の潤いやツヤとは何か

ツヤのある音色について考えてみたいと思います。 ざっくり言えば、ツヤはトレモロが関係しているかもしれません。 トレモロとは音量が上下にゆれる効果の事を言います。 音量が上下にゆれるとツヤを感じると思います。いわゆる潤い系楽器です。 音量が上下にゆれる事で波を連想し潤いを感じるのだと思います。 潤いはとても心地よさを感じ、長く聞いていられる音です。

ほかに、もう一つの要素があって、整数倍音から微妙にずれた倍音が組み合わさる事で、 同様に潤いが発生しツヤを出す事が出来ます。微妙にずれた音程を同時に鳴らすとうなりが生じる。 と高校で習いますが、うなりとはトレモロの事でもあります。やはり音量が上下にゆれるのです。 本物のピアノはこの原理を使って潤いを作り出しているのだと思います。

どちらにしても、音量がゆれると潤いを感じるという訳です。

この潤いですが、潤いがあると生楽器らしい音になり、潤いが無いとデジタルな音になります。 生楽器は潤いの宝庫なのです。これは楽器自体が伸縮する事によって音量が変化するのだと思います。 一方、デジタルの音は100%伸縮しない楽器と考えられ、硬い音を出します。この硬い音がまた良いのです。

潤いは自然を表現し潤いが無ければ人口的なイメージを作り出します。 楽器作りや楽曲作りで活かしてみてください。

■ 超高速ビブラート

多分、FMサウンドの事なんだろうと思いますが違うかもしれません。 普通、ビブラートは6Hz前後で音程を揺らして演奏するものなのですが、 楽器を作る場合、もっと高速な音程の揺れについて考える必要があります。

例えばローズ系のエレクトリックピアノ(EP)ですが、鉄板をハンマーで叩き電気的に増幅する事で音を出す楽器です。 鉄板を叩いた瞬間、高速に鉄板が伸縮し、音程が高速に変化するといった現象が多分発生するのだと思います。

これを再現するのに、超高速ビブラートを使います。大体80〜200Hzくらいのものすごい速さでビブラートすると、 EPのような独特なサウンドを再現できます。もしかしたらインパルスによるものかもしれませんが、 人間の感覚としては、どちらでも、同じに聞こえる予感です。理論的に考えれば、金属板の高速伸縮もありうる気もします。

同じように、トランペットの鳴り始め部分でも、超高速ビブラート現象が発生します。 これも、インパルスかもしれませんが、超高速ビブラートをすると、トランペットらしいアタックを作る事が出来ます。

■ 音の伸縮について

楽器などの音を録音する事をサンプリングと言いますが、 サンプリングした音を速く再生すると音程が上がり時間的に圧縮されます。 逆に、遅く再生すると音程は下がり時間的に間延びします。 2倍の速さで再生すれば音程は1オクターブ上がり、半分の速さで再生すると音程は1オクターブ下がります。

倍音列に関しては、速く再生すると、倍音列が多くなったように聞こえ、逆は倍音列が少なくなったように聞こえます。 なので、音をゆっくり再生すると、やわらかい音色になります。

音程や音色については置いておいて、今回は、音の伸縮について説明したいと思います。

SF−INSTはサンプラーを基礎としてシステムが構築されています。 サンプラーというのは、サンプリングした音を再生する仕組みによるものです。

そのため、ある音階の音色を作成し、それをいろいろな音階で演奏すると、 これらの再生速度が影響し結果、音が伸縮してしまいます。

伸縮するとどうなるかというと、高い音階を鳴らすと、音の鳴り始めが早く再生されるので、 鋭く硬い音色になります。低い音階を鳴らすと、音の鳴り始めが遅く再生されるので、やわらかく不鮮明な音色になります。

笛などの筒系の形状をした楽器であれば、物理的にもそれに近い振る舞いをするため、気にならないのですが、 はじいたり、叩いたりする楽器で伸縮の影響を受ける事になります。 筒系であってもトランペットのようなアタック感のある演奏だとやはり伸縮の影響を受ける事になります。

打楽器であれば音程を低く演奏すると叩く瞬間がゆるくなってしまって、すっきりしないサウンドになってしまいます。 ピアノやギターなどもかなり違和感を感じる音色になります。 このような場合、伸縮しないように最初からよく演奏する音階でサウンドを作る事でこの問題を回避できます。 バスドラムであれば、かなり低い音階でサウンドを作るといった具合です。

しかし、ピアノのように音域が広い楽器では、音階ごとにサウンドを作成する必要があります。 あまり影響がない場合はオクターブ単位で作れば大丈夫ですが、 ピアノやギターは最低でも1オクターブあたり4サウンドは作ったほうが楽器らしくなります。 各オクターブでCEGAの4音階を作っていくと良いかもしれません。 この音階はハ長調が明るく響くと思われる音階です。 半音にあたる音階がちょうど伸縮の影響を受けるので、調のメリハリも出ると思います。
無断転載禁止 Copyright (C) Studio ftn
http://studio-arts.bglb.jp/studio-ftn/