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SF-INST で様々な楽器や効果音を作っていきたいと思います。 編集が可能な sfwork も公開していますのでこれを元にして自由にオリジナル楽器を作成して自分の楽曲で使ってみてください。

「 編集可能な楽器素材集 」はこちらからダウンロードしてください。 楽器作成マニュアルはこの素材を使って説明を行いたいと思います。 素材の使用方法は付属の説明書を参照してください。

■ 音の基礎知識

音の基礎については高校の物理とかで習うと思います。 ただ、それは、基礎であり、ブザー音程度が作れるレベルのものでしかありません。 ここでは、もっと深く楽器を作るための知識を説明したいと思います。

1.音を作るとはどういう事なのか

まずは、絵の具の色を混ぜていろんな色を作る事をイメージしてみます。 この世に存在する全ての色を作るにはたった3色の透明絵の具があれば可能である事は知られていると思います。 黄色、ピンク、水色、の3色です。普通にカラープリンタの3色です。

これを図にすると以下のような感じになると思います。縦が混ぜる量を示していて最大で100%です。



多分、上図の配合で混ぜると、右のような色とかになると思います。 各3色の配合次第で、どんな色でも作れる事はなんとなくイメージできるかと思います。 例えば、黒は各色100%、赤は黄とピンクを100%、とかです。 透明絵の具じゃないと黒にならないので注意してください。普通の絵の具は各色に白が入ってるので、混ぜるとグレー系になります。

音の場合も似たような感じで、以下の図のように表現できます。縦が各成分の量で最大で100%です。

トランペットの音色


これらの配合で混ぜると、右のようなのこぎり波の音が作れます。 色との違いは各成分が「違う音程の純音」になっている点です。 1倍音というのは音を鳴らした時の音程の事です。 2倍音というのは、その音程よりも高い音程の事です。 音の場合色と違って再生音程周辺に成分が無限にありますが、 普通は、右にいくほど、量は少なく配合される感じになります。

音の場合、各成分の配合を様々に変化させる事で、どんな波形も作る事が可能です。 合成された波形の事を「音色」と言います。つまり配合次第でどんな音でも作れるという訳です。

上図のように全ての倍音成分が適度に入った音色は「弦」や「トランペット」の音色になります。声とかもそうです。 ほとんどの楽器はこういう風になるように楽器が設計されています。

「音色」ですが、高校では「ねいろ」と教わりますが、DTMの世界では「おんしょく」と言う場合もあります。 残念ながら高校では音色の作り方までは教わりません。 しかし、このページでは音色の作り方を説明していきます。

ちなみに、楽器として再生する場合は、この波形が永遠に反復して繰り返されて再生されます。 1つ分の幅は、1秒間に440回とかの速さでものすごく高速に繰り返されます。 これをHzといって「中央のラは440Hz」とか言うと思いますが、音作りではあんまり関係ありません。

2.さまざまな音色

倍音の混ぜ具合でいろんな楽器が作れるという事が分かった所で、いろいろな配合についても見ていく事にしましょう。

リコーダの音色


    偶数の成分を0%にすると、笛系の音色になります。1、3、5、とかを奇数倍音と言います。 奇数倍音で構成される音色は「筒系」の音色になります。

    図では6倍音までですが無限に奇数倍音を混ぜていくと、だんだん、波形が鋭くなってきて、 最終的には「矩形波」と呼ばれるPSG音。つまり純粋なデジタルブザー音となります。 余談ですが、奇数倍音でないどんな音色も、倍音を重ねるほど鋭い音になっていき最終的にはデジタルサウンドになります。
純音


    1倍音だけを鳴らすと純音になります。音叉とかオカリナとかの音色になります。
2倍音(1オクターブ高い音)


    2倍音だけを鳴らすと1オクターブ高い純音になります。ハーモニクストーンです。
3倍音(1オクターブと完全5度高い音)


    3倍音だけを鳴らすと1オクターブ高い完全五度の純音になります。 ドの音階を鳴らしたとしたら1オクターブ高いソが鳴ります。
4倍音(2オクターブ高い音)


    4倍音だけを鳴らすと2オクターブ高い純音になります。
5倍音(2オクターブ高い音ミの音)


    5倍音だけを鳴らすと2オクターブ高いミの純音になります。 この倍音から音楽で使う音程と微妙なずれが生じてきます。耳で聞く分には「ミ」の音程という感じです。
6倍音(2オクターブ高い音ソの音)


    6倍音だけを鳴らすと2オクターブ高いソの純音になります。 音楽で使う音程と分からないくらい微妙なずれが生じてます。耳で聞く分には「ソ」の音程です。


3.まとめ

様々な倍音を混ぜる事で楽器の音が作れるという事を説明しました。 各、倍音の量で、音色の違いが生じる事も説明しました。 各、倍音は、鳴らした音程より高い様々な音程である事も説明しました。 1つの音色にはドミソの音が混ざって出来ていた。という事も理解できたでしょうか。

最初に紹介したトランペットの音色をスペクトルアナライザという機能で見ると以下のようになります。



トランペットを5Cの音程を鳴らすと上図のような倍音列が発生します。 見えにくいですが赤色が「ド」を示しています。

Q.スペクトルアナライザで本物の楽器の音を見ると倍音の配合が見える? それを見ながら楽器が作れる?

A.作れてしまいます
実際の楽器は1.5倍音とか1.1倍音とか、微妙な成分とか他の音情報が膨大に入っています。 根気さえあれば本物の楽器の音も作れます。 缶を叩いた音とか自分の声とかを、スペクトルアナライザで見て、模写ればコンピュータ上で再現できます。

ただ、スペクトルエディタはある瞬間の音を表示しているため、瞬間だけを作っても本物らしい楽器にはなりません。 本物らしい楽器を作るには、他にも様々な音の知識が必要になってきます。他の章では、それらの知識も説明していきたいと思います。

サウンドエディタでは整数倍音の他、1.5倍音とかの非整数倍音とか様々な音情報にも対応しているので、根気さえあればどんな音でも作れます。 ただ、根気でそっくりな音を作るくらいなら録音した音を使ったほうが早いと思います。スペクトルを模写るという事は録音した波形を模写ってるのと同等の事をやっているにすぎません。 音作りは、自分好みの音の追求をする事にこそ意味があるので、自分が表現したい音を追及してみてください。 コンピュータには物理的制限がありませんので、本物の楽器を越える事だって可能です。新しい楽器を自分の手で作って自分の楽曲の幅を広げていきましょう。

DTMでの楽器作りはむしろ本物の楽器を崩す事でサウンドを作っていくイメージになると思います。 適度に情報を抜いた楽器は楽曲の用途も広く飽きにくく長時間聞いても疲れにくいサウンドになります。

■ 音の基礎の実践

サウンドエディタで様々な音色を作ってみたいと思います。

音叉の音


    正弦波とも言います。1倍音のみの音。これをいろいろな音程で同時に鳴らすといろんな楽器の音色が作れます。
トランペット


    のこぎり波とも言います。
リコーダ


    矩形波もしくはPSGサウンドとしても知られています。奇数倍音列に着目です。
どんな音色?


    使用フリー素材:SoundChipStudy-0001-0001

    各倍音の配合を変えると様々な音色が作れるという例です。 こんな複雑な波形も作れてしまいます。 適当に配合してみました。どんな音色かは聞いてみないと分かりません。 ぜひ、いろいろな音を作ってみてください。波形の形状を見るにピアノ系?
■ 最も早くそれらしい楽器を作る方法

以下は作者がやっている音作りの方法です。いきなりは出来ないと思いますが参考にしてみてください。 作者からのアドバイスは、 とにかく本物の音を聞きまくる事です。だいたい1〜4ヶ月毎日楽器を聞いて、音を作るのは感覚で1〜5日で完成です。

よくある最初の失敗は、それらしい音が出来ても、出来ている事に気がつかなかったりする事だと思います。 運よく楽器が出来ても、いじってるうちに崩してしまうんです。

こうなる原因は完成形がイメージできていない事によります。 なので、とにかく、楽器の音を聞き続ける事が重要です。ただ聞いていても頭に入らないので、 鍵盤で演奏したり耳コピーしたりすると退屈せず良いです。

耳コピーは音楽の基礎でもあるので、作曲でも大きな効果を発揮すると思います。楽器作りを通して作曲を学ぶというのも良いと思います。

1.作りたい楽器の生演奏の曲を耳コピーする

できる範囲で構いません。音階やリズムがずれていたりしても構いません。 1楽器あたり一ヶ月くらいかけてゆっくりやってみてください。 ソロ曲やクラシックなどがやりやすいと思います。その楽器のパートだけを耳コピーしてください(他のパートを耳コピーしたら意味がありません)。 空白になる部分を省略したりメトロノームだけ入れておくと良いと思います。

重要な事はずっと楽器の音を聞き続ける事にあります。 楽器を耳コピーする事で、集中して楽器の音や奏法の違い、その楽器らしい演奏方法や楽曲、を学ぶことができ、 作曲を行うにおいても、大きな効果を発揮します。

本物の楽器は様々な奏法によって様々な音色が表現できます。実際の楽曲はそういった楽器の個性を十分に発揮している事もあります。 これから作ろうと思う音色のイメージに近い奏法の曲を耳コピーすると良いと思います。 選曲も、楽器作りではかなり重要になってきます。

耳コピーはMIDI鍵盤でMS−GS等のMIDI音源を使って行うと良いです。 素早くフレーズを確認する事ができ、いつのまにか、気が付いたら普通に鍵盤で演奏できるようになります。

耳コピーは作曲力を高めるのに有効ですが、耳コピーが終わると作った楽器のテスト楽譜が出来てしまうのでお勧めです。 楽器を作っているとどんどん作曲力が上がると思います。その楽器らしい演奏というのもある。という事も学べると思います。

2.音域による音色の違い

自然楽器の楽器の音は、音域によって、かなり違った音色をしています。全く別物と言って良いです。 ただし、シンセサイザなどのデジタルサウンドは、どの音域でも同じ音色になっている事が多いです。

楽器によっては、自然楽器でも、特に笛系では、だいたいどの音域でも同じ音色になっています。 逆に、ギターや、ピアノの場合は、全ての弦が違う音色になっています。 声とかも、全ての音程で、違う音色になっています。そういった楽器は上達してから作るのが良いかもしれません。

ピアノを作る場合は、弦ごとに、音色を作っていくイメージとなりますので、かなり時間がかかるかと思います。 よく、シンセサイザでピアノの音がなかなか出来ないというのは、この事が原因です。

楽器らしい音色は楽器らしい音域を使う事でそれらしくなります。 作りたい楽器に近い音域を使っている曲を耳コピーしてみると効果的です。 楽器を作る場合は、楽器らしい音域のあたりから作り始めると良いと思います。

3.楽器音の観察

楽器は1つの音が鳴っているのでなく、複数の音が同時に鳴って1つの楽器の音として聞こえています。

例えばスネアドラムの場合、スティックの衝突音、膜の音、筒が響くの音、スプリングの音、 ドラムスタンドの棒が振動する音、叩いた時の衝突音、残響音、などが、同時に鳴る事で、 スネアドラムの音となって聞こえます。たった一発のドラム音も、ある意味、部品のオーケストラという感じです。

これらの音を個別に作成していくことで、生楽器をサウンドエディタで作っていきます。 なので、楽器から発生する、部品やパーツの音の種類をどれだけ耳で聞き分けられるかで作る楽器のリアルさやそれらしさに違いが出てきます。 それらの音量バランスを変えれば、多くの場合、奏法の違う楽器音を作成する事が出来ます(それらに特化した将来エディタ化も予定)。

Pro 版ではスペクトルアナライザが使用できますので、 楽器の音の周波数分布を時間的に進めながらどのように音の成分が変化しているかを確認する事ができます。 楽器の振る舞いを学習するために活用してみてください。

4.楽器の作成

1〜3をじっくりやったら、基本的に、感覚だけで作成していきます。粘土とか彫刻とかと似た作業です。 大切な事はそっくりにする事でなく、それらしくする事です。ぜんぜん音が違っていても、それらしさがあれば、 全然問題なく楽曲で使えますし、楽曲の個性にもなります。

DTMでは、この考え方が重要です。適度に情報が抜ける事で、いろいろな楽曲で使いやすい音色に仕上がります。 しかも、飽きにくいサウンドにもなってずっと聞いていて疲れないサウンドにする事が出来ます。

逆に、無理に本物っぽくした楽器は、楽曲で使っても、何か心が踊らない感じになるかもしれません。 その理由は、ある楽曲の特定の演奏に固定した楽器になってしまっているからです。 例えば、クライマックスで鳴らした時の楽器音で音を作ると、楽曲の1っ箇所やクライマックスでしか、心に来ない楽器になってしまいます。 つまり、とても飽きやすく疲れやすいサウンドになってしまいます。

なので、楽器らしさを優先し、ざっくりと作るのが音作りのコツとなります。 いつも同じような曲しか作れないとか、楽器の音に飽きたなら、これらの事を意識してみると再び音楽に熱が入ると思います。

5.演奏してみる

楽器が出来たらMIDI鍵盤を使って演奏してみます。気になるところがあれば、調整していきます。 いつまでも演奏していたくなるようなサウンドを目指してみると良いと思います。 ぱっとしない場合は、楽器らしさの要素や、音の成分が不足しているかもしれません。

楽器を作っている時は良い音だと思ってても、使ってみると、その楽器が良いかどうかを即判定できると思います。 理想は鍵盤で鳴らしながら、音を作っていく事です。

自分で作った楽器は愛着が沸くもので、楽器を作っている途中、楽器作りを忘れて1日中鍵盤で演奏し続けたとかよくあります。 ほんと、気がついたら、鍵盤演奏が出来るようになってます。

6.楽曲で確認

耳コピーの時に作成した楽譜を使って曲を演奏し、気になるところがあれば、調整していきます。 多くは5.の段階でほぼ完成ですが、実在の曲を演奏してみると、何か違うという箇所が見つかるので、 楽器らしさに注意して何回でも各手順を見直してみてください。

何の楽器か判別できるか、それらしい楽器になっているか、を判断し、ある程度の所で妥協する事も大切です。 いろんな楽器を作る事で、楽器作りに慣れてくるので、順番に、楽器のクオリティを上げていくと良いと思います。


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